この作品のテーマのひとつは「父と息子の確執」であり
性的倒錯とも見受けられる行動を繰り返す男の姿に
父親の影がいつも見え隠れして重なるよう描かれています
「父親を越えねばならぬ」という観念は女性の自分にはすこし
理解はしがたいのですが、ラスト少しほっとして終わるところと
父親の死んだ年を越えて はたと思いを巡らす箇所がよかったかな・・
| 著者 |
吉行 淳之介 |
|---|---|
| その他 | 吉行 淳之介 (著) |
| 発売日 | 1966 年 04 月 01 日 |
|---|---|
| メーカー | 新潮社 |
| ページ | 259p |
| リンク | Amazon.co.jp で内容を見る |
( 4.0 点 / 1 人)
息子にとって父親は「大人になるためには越えなければならない壁であり、またいつまでも越えられない壁なのだ」とは良く言われる事だ。しかし主人公のように父親が今の自分よりも若いときに死んでしまっているのでは「どうやって父親を越えたことを父親に知らしめることができようか」という嘆きも聞こえてきそうだ。
愛人と性的な関係に滑り落ちていくことに、主人公はあまり抵抗を示さない。迷い、ためらいながらも結局関係を深めていってしまう。これはどこかで「派手な生活をしていた父親」を越えることができる!かもしれないと言う、父親に対するライバル心の現れだったのではなかったのだろうか。
性的な表現に抵抗があるかもしれないが、上記のような背景を考えると主人公を単純に性的充足を求める輩と規定するわけにはいかないと思う。父子関係という永遠のテーマのひとつを扱った作品と言えるのではないだろうか。
表題作の原形となった作品が併録されており、対比すると物語の膨らませ方も楽しめる作品集だ。
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