「子供にしてあげたお話」、「女の子−−六歳」は母親が子供の成長を見つめる幸福にあふれていて、地球の裏側を一人旅をしている自分には身に染みた。全く対極にある生活だ。
少し悪い女でもありたいと思いながら書いたという「子供にしてあげなかった話」には、きっとだれもが密かに持っているだろう願望が見え隠れしている。一瞬頭によぎるものの、決して口には出せない種類の願望だ。「香港の黒豚」を読んでキューバのディスコでみた黒人を思い出した。その黒人は、黒人独特のありえない程の腰(および全身)のくねりで、白人女性とサルサを踊っていた。全身くねくねでとても人間技には見えない程体をくねらせつつも、ちゃんとサルサの形になっている。そしてとてもうまい。女性なら、彼はベッドではいったいどんなダンスを見せてくれるのだろうという思いが頭をよぎったとしても不思議ではない。岸田さんもそんな黒人を香港で見かけたのではないだろうか。


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